踊るたぬきのサンバ・ノ・ぺ

踊らされて生きているたぬきのお話

人と何かをするということ

普段私はパシスタをしている。上手とはお世辞にも言えないけれど。ところが故あって、今、コミッサォン・ジ・フレンチ(Comissão de Frente、英訳すると The Front Committee、和訳したら先頭委員会という字面だけ見れば本当に謎のパート)の演技を練習している。

しかしこのコミッサォン・ジ・フレンチ(面倒なので以下、コミサン)、サンバのヂスフィーレ(きちんとテーマのあるパレードのこと)においてはとても重要なパートなのだという。

コミサンはパレードの先頭に置かれるパートであり、ジャズダンスやモダンバレエのような動き、フォーメーションチェンジ、そしてリフトなどの大技と言った集団演技で成り立つパートで、アーラ・ダ・パシスタスのようなソロダンサーの集まりのパートとは少し雰囲気が違う。サンバ・ノ・ぺ(サンバステップ)こそ踏まないが(踏んでるコミサンもいるけどね)、バテリア(楽器隊)の音を余すとこなくダイナミックに使い、演技するパートだ。師である翼先生曰く、「コミサンは特殊部隊」。

そして興味深いのは翼先生曰く、「コミサンの演技ではお客さんに挨拶をしたり、自分のエスコーラ(サンバチーム)を紹介する演技を必ず入れなければならず、これが入っていないと、本場のリオやサンパウロのカーニバルでも減点になる」とのこと。

今回私が練習しているコミサンの演技にもこのお客さんにご挨拶の振付があるのだが、これがカウントで取るには難しく、立板に水が伝うようにさら〜っとなめらかにやらないといけない振付になっている。が、しかし現状みんな、ばらんばらんwそして主な犯人私である説www

個人の振り入れはもちろん大事だけれども、フォーメーションや、リフト等、みんなで息を合わせないと人とぶつかったり落下させたり転ばせたり殴ったり事故になりかねない。だから人が上手く演技できないことを責めることには何の意味もない(そんな人は今私がやってるコミサンのメンバーにはいないと思うけれど)。自分の、自分達の演技を美しくするためには、メンバーに協力し、信頼し合わないといけない。それは個人的な好き嫌いとは別のところにある仲間意識なのだと思う。本当はコミサンだけじゃなくて、アーラ(パート)はみんなこうあるのが理想だし、ワンポジ、アーラ、バテリア全体含めて、強い仲間意識がないといけないんだと思う。それはある意味、徹底した冷静さであって、仲良しごっこではなくエゴを超えた協調性なんだと思う。そしてもっというなら、仕事や友人関係、情でつながっている家族であっても、この冷静さはチームとして何かをする時にはとても重要な態度なんだろうな。

とはいえ、トロくて振り覚えの遅い私は、仲間をイライラさせていることだろうと思い、皆さんがよくしてくれていることには申し訳なさとありがたさを感じているので、完成度を高めてよい演技にしたい。一緒にパフォーマンスしてくれる仲間達のために。