踊るたぬきのサンバ・ノ・ぺ

踊らされて生きているたぬきのお話

疲労という誇り

昨日はチームのダンサーコンテストでした。

うちのサンバチームのダンサーが一年の成果を発表し、それを外部からお招きした審査員も含めて審査していただき、点数や順位もつけられる。どこのチームもこれに類するイベントはやっているはずですが、ダンサーにとってなかなかシビアなイベントです。

 

うちのチームの場合は、スローアップ(ダンサー登場の時に演奏されることの多い打楽器メイン(うちは弦も入る)の歌なし楽器演奏。ゆっくりテンポの間にダンサーが登場、ご挨拶をし、軽く踊る。その後一回音にブレイクが入ってテンポが上がり、ダンサーが速いサンバノペや他のテクニカルなステップワークなどのスキルを見せる…んー、まぁ、ダンサーのご紹介タイムの音って感じかな。少なくとも日本ではそういうふうに使われているような…。ブラジルではあまり使わないらしい。ブラジルで踊った経験の長いお方が、スローアップをpartido alto e rasgadoと呼んでいるのは聞いた)の音源で踊った後、今年のリオのカーニバルの曲から選ばれた曲を1コーラスに編集した課題曲で踊り、サンバノペ、課題曲、表現力等の観点から審査されるというもの。スローアップも課題曲も2人組で踊ります。1人が1回目のスローアップで出てきて踊り、2人目が2回目のスローアップで出てきて踊る。2人揃ったところで、課題曲が流れる。それを2人がそれぞれ踊るという感じです。

 

はっきり言って、ダンサーはみんな出たくないんですよ、このイベント。楽しく踊ってるのに評価されるのとか嫌じゃないですか。

ハイーニャ・ダ・バテリアを目指す人は別ですが。

ハイーニャ(rainha) とは女王のことです。ダは英語で言うならofに近い意味だと思います。

Bateriaはbattery 即ち、打楽器隊のことですね。rainha da bateria とはこれ即ち、バテリアの女王。ダンス、人柄、容姿がチーム、特にバテリアに愛された選び抜かれし者だけが就くことのできる名誉なポジションなのです。その名の通り、パレードにおいてバテリアの前を先導するようにただ1人で立ち、Rainha da Bateriaであることが示された襷をかけ、踊ることのできる、サンバダンサーにとって究極の花形ポジションです。

 

でも、私は自分の今の踊りの腕やチームへの貢献度、器の小ささでハイーニャになれるとは思っていないし、目指してもいない。

 

私が考えたことはただ、「全力で、悔いのない踊りをしよう」だけ。

曲の大事なキメや音のブレイクを逃して微妙な踊り方をしたら音を大事にできなかったと後悔するだろうし、曲のクライマックスでサンバノペをしっかり踏めなくてスタミナがなくてへばったりもたもたしたら、全力で踊れなかったことをきっと後悔する。

 

だからただ、力まず全力で踊ること、曲と音をちゃんと聴くこと、そして聴き取った音で動きを作ることだけを意識して練習した。

お菓子を食べるのをやめ、タンパク質を摂り、自主練の時は必ず腹筋とお尻の筋トレをした。筋トレと食事はダンサーコンテストに向けて始めたことだけれども、

それとは別に週2日のレッスンと週1日のエンサイオを抜いても、週2日は必ず自主練を入れると言う生活をもう2月からずっと続けてきている。

しんどくても、熱出したりとかしない限り自主練には必ず行くようにしていた。例え忙しくてスタジオが予約できない日も家で練習した。今やれるベストを尽くした。

 

当日はあまりコンディションが良くなくて、自分では本当にノペがイケてない気がした。

でも、その時の私の全力を出すしかない、と思ったから本番もそれで固くなったりはしなかった。

 

観ていた友達に「ビックリした、別人かと思った。あなたそんなに踊れたんだね」と言われた。

 

結果は人に委ねるものなので、私のできることの埒外です。だから、どうだっていい。

でも観てた人が楽しんでくれたなら、私はそれだけで十分です。

なので、今回の出来は自分ではわからないけれども、一点の悔いもなく努力できた。

そしてそれを余すことなく本番に注げたという意味で、いつも本番の後には上手くやれなくて落ち込むことの多い私には珍しく満足できました。

ただし、くったくたで、昨日はさっさと寝たのに昨日の疲労を引きずり朝から仕事になりませんwww!これも名誉の疲労でしょう!

 

だからもう忘れてこの1週間はのんびり過ごします。お菓子は食べないけど、食べ物も少し縛りを緩くして楽しもうかな。